「ストラトのピックアップを交換したいけど、種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」
そんな悩みを抱えていませんか?
Fenderのシングルコイルピックアップはヴィンテージ系・HOT系・モダン系と種類が豊富で、スペック表を見ても何が違うのか正直よくわからないですよね。
僕自身、Fender Japan製ストラトのピックアップ交換にあたって相当悩みました。この記事では、Fenderの公式スペックをベースに各モデルの特徴を整理しながら、僕が実際にFat ’50sを選んだ理由と交換後の正直なレビューをまとめています。
同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
- Fenderシングルコイルピックアップの種類と特徴の違い
- ヴィンテージ系・HOT系・モダン系、どれを選ぶべきか
- 実際にFat ’50sに交換してみた感想と取り付け作業のポイント
ピックアップ選びの基本:何を基準に選ぶか
スペック表に出てくる数値の意味を最初に整理しておきます。ここを理解しておくと選びやすくなります。
直流抵抗(kΩ) コイルの巻き数に比例します。高いほど出力が大きく、低音が強調される傾向があります。ただし抵抗値だけで音の太さは決まらないので、あくまで参考値です。
インダクタンス(H) 磁界の強さに関係します。高いほど中低域が豊かになる傾向があります。
マグネットの種類 Alnico 2は柔らかく温かいサウンド、Alnico 5はクリアでブライトなサウンドが特徴です。FenderのシングルコイルはほぼAlnico 5ですが、Fat ’60sだけAlnico 2を使用しています。
ワイヤーの種類 Formvar(ポリエステル系)はヴィンテージに多く、Enamel(エナメル)はよりブライトな傾向があります。
ヴィンテージ系:54年〜73年の音を再現したいならこれ
特定の年代のサウンドを再現するために設計されたシリーズです。SRVやクラプトン(Cream期)など、特定のアーティストのサウンドに近づけたい方に向いています。
| 製品名 | Custom Shop ’54 | Pure Vintage ’57 | Pure Vintage ’61 | Pure Vintage ’65 | Custom Shop ’69 | Pure Vintage ’73 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 直流抵抗 | N/M: 5.9k / B: 6.5k | 5.95k | 5.9k | 5.9k | 5.6k | N/M: 6.1k / B: 6.7k |
| インダクタンス | N/M: 2.4H / B: 2.75H | 2.47H | 2.3H | 2.6H | 3H | N/M: 2.38H / B: 2.8H |
| マグネット | Alnico 5 | Alnico 5 | Alnico 5 | Alnico 5 | Alnico 5 | Alnico 5 |
| ワイヤー | Formvar | Formvar | Polysol | Enamel | Enamel | Polysol |
| リード線 | Cloth | Cloth | Cloth | Cloth | Cloth | Vinyl |
| ポールピース | 面取りあり | 面取りあり | 面取りあり | なし | なし | 面取りあり |
スペック数値はどれもほぼ近いです。音の差異はワイヤーの種類やポールピースの仕上げといった細かい部分から来ていると思われます。
選び方の目安
- 50年代の枯れた音 → Custom Shop ’54 or Pure Vintage ’57
- 60年代初期のブルージーな音 → Pure Vintage ’61
- SRV的なサウンドを狙うなら → Pure Vintage ’65 or Custom Shop ’69
- 70年代のクランチサウンド → Pure Vintage ’73
💡 「どの年代の音楽が好きか」「どのアーティストのサウンドを目指したいか」で直感的に選ぶのもアリです。スペックよりもイメージで選んで正解なことも多いです。
HOT系:太くてパワフルな音が欲しいならこれ
ヴィンテージ系と比べると抵抗値・インダクタンスともに高めで、出力とパワー感が増します。シングルコイルの繊細さを保ちながら、もう少し太い音が欲しい方に向いています。
| 製品名 | Custom Shop Fat ’60s | Custom Shop Texas Special | Ultra Noiseless |
|---|---|---|---|
| 直流抵抗 | 6.7k | N: 5.94k / M: 6.27k / B: 6.56k | N/M: 12.3〜12.9k / B: 21.6〜22.2k |
| インダクタンス | 2.8H | N: 2.57H / M: 2.62H / B: 2.97H | N/M: 3.75H / B: 6.6H |
| マグネット | Alnico 2 | Alnico 5 | Alnico 5 |
| センター | 逆巻き・逆極性 | 逆巻き仕様 | – |
各モデルの特徴
Custom Shop Fat ’60s 唯一Alnico 2を採用。Alnico 5のブライトさを抑えて、柔らかく温かみのあるサウンドになります。最近人気急上昇中で、Fenderのカスタムショップギターに標準搭載されることも多いモデルです。まろやかで甘いトーンが好みなら要チェックです。
Custom Shop Texas Special SRVのサウンドを意識して開発されたと言われているモデルです。ヴィンテージ系に近い抵抗値ながら、パワーとエッジ感のバランスが良い。クランチサウンドとの相性が抜群で、私も以前Fender Japan付属の日本製Texas Specialを使っていましたが、ピッキングの強弱への反応が気持ちよかったです。
Ultra Noiseless 抵抗値がほぼ倍で、ノイズレス設計のモデルです。ライブやレコーディングでノイズが気になる方、クリーントーンをメインに使う方に向いています。
💡 クランチからオーバードライブで弾くことが多いなら、Texas SpecialかFat ’60sが特におすすめです。
モダン系:使いやすさと個性のバランスならこれ
「ヴィンテージの枯れ感は欲しいけど、もう少し使いやすくしたい」という方向けのシリーズです。現代のプレイスタイルに合わせて設計されています。
| 製品名 | Custom Shop Fat ’50s | Custom ML Ultra Noiseless |
|---|---|---|
| 直流抵抗 | N: 6.26k / M: 6.34k / B: 6.43k | N: 9.0k / M: 9.8k / B: 11.1k |
| インダクタンス | N: 2.49H / M: 2.5H / B: 2.63H | N: 2.7H / M: 2.9H / B: 4.0H |
| マグネット | Alnico 5 | Alnico 5 |
| ワイヤー | Formvar | Polysol |
| リード線 | Cloth(布巻き) | Vinyl |
| ボビン | Fiber | Plastic |
| ポールピース | 面取りあり | なし |
Custom Shop Fat ’50s ヴィンテージの空気感を持ちながら、少し太さを加えてオールマイティに使えるように仕上げたモデル。私が実際に購入したのがこれです(後述)。
Custom ML Ultra Noiseless ノイズレス設計でありながらFenderらしいキャラクターを保っています。ノイズを完全に排除したい、でもフェンダーサウンドは手放したくないという方に。
結局どれを選べばいい?タイプ別おすすめ迷っている方のために、用途別にまとめました
クリーン〜クランチでブルージーな音が好き → Pure Vintage ’65 か Texas Special
温かくまろやかな音が好き(ジャズ、ファンク系) → Fat ’60s(Alnico 2の柔らかさが効く)
ヴィンテージの雰囲気は欲しいけど太さも欲しい、オールマイティに使いたい → Fat ’50s(これが一番ハズレがない)
ライブやレコーディングでノイズを排除したい → Ultra Noiseless か Custom ML Ultra Noiseless
特定のアーティストのサウンドを狙いたい → その時代に対応したPure Vintageシリーズ
僕がFat ’50sを選んだ理由と実際の音
選んだ経緯
元々Fender JapanのストラトにTexas SpecialとよくわからないフロントPUが搭載されていたのですが、フロントの音だけなんとなく物足りなさを感じていました。「太さが足りない」という感覚です。
悩んだ末にFat ’50sに決めた理由は2つです。
1. オールマイティに使えそうだったから ヴィンテージの枯れ感を残しつつ、少し太さを加えてある設計は自分のプレイスタイル(クリーン〜クランチが中心)にドンピシャでした。
2. 円安でどんどん高くなっていたから タイミングも大事です。「今買わないと」という判断も正直ありました。
実際に交換してみて
結果は大正解でした。
特にフロントの鳴りが劇的に改善されました。ストラトのフロントPUって、弾き込むほどに良さが出るものだと改めて実感しています。
Texas Specialと比べると、Fat ’50sのほうが全体的に落ち着いた感じで、クセが少ないです。Texas Specialはクランチで弾いていると、ザラッとしたエッジ感があって歪みやすい。同じセッティングでもTexas Specialのほうが歪む印象です。
Fat ’50sは「ザ・ストラトらしいサウンド」に少し太さを足したような音で、どのセッティングにも馴染みやすいです。まさにオールマイティ。
何より、交換後はずっと弾いていたくなるような鳴りになりました。「ギターがうまくなったわけじゃないのに、なぜか弾きやすく感じる」という不思議な感覚があります。これはピックアップ交換あるあるかもしれません。
気になった点
ポールピースの仕上げについて、スペック表には”Staggered hand-beveled”(手仕上げの面取りあり)と書かれていましたが、実物は「はっきりわかるような面取り」という感じではなかったです。所々エッジが残っている箇所もあって、USAっぽい「ワイルドな作り」という感じ。音には関係ないので気にしないことにしました。
Fat ’50sはこんな人におすすめ
- ストラトらしい枯れ感は欲しいが、もう少し太さも欲しい
- クリーン〜クランチをメインに使う
- どのセッティングにも馴染む使いやすさが欲しい
- ピックアップ交換が初めてで「外れを引きたくない」
交換作業のポイント
難易度と必要なもの
ピックアップ交換はギター改造の中では比較的簡単な部類です。半田ごての経験があれば問題なくできます。
必要なもの:
- 半田ごて・半田
- ドライバー(プラス・マイナス)
- ニッパー
- テスター(あると安心)
付属の配線図について
Fat ’50sには丁寧な配線図が付属していて、ほぼ迷わず作業できます。英語ですが、図を見れば理解できる内容です。

作業時の注意点
リアピックアップのコードカットは慎重に リアPUはスイッチまでの距離が短いので、付属のコードをカットして長さを合わせる必要があります。「コードが弛んでいる状態は嫌だ」という性格なので、何度か長さを確認してから一発でカット。ここだけ少し緊張しました。

ピックアップの取り付けスプリング → ゴム Fat ’50sはピックアップをピックガードに固定する際、バネではなくゴムのスリーブが使われています。バネだとネジを締めながらバネの反発を抑える必要があって地味に面倒なのですが、ゴムなら反発が弱くて取り付けやすかったです。


まとめ
Fenderのシングルコイルピックアップ、種類が多くて最初は途方に暮れますが、自分のプレイスタイルと目指すサウンドの方向性が決まれば選択肢はかなり絞られます。
迷ったらFat ’50sを選んでおけばまず後悔しないと思います。ヴィンテージ系の良さを保ちながら現代的な使いやすさを加えた、バランスの良いモデルです。


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